角帯紹介 斜線三寸

宝来屋の角帯紹介

宝来屋では日々角帯を織っております。その品種は定番だけで約30種類あります。そこで、時々たくさんの角帯の特徴をご紹介したいと思います。

斜線三寸

第一回目は斜線三寸(しゃせんさんずん)。その名の通り、斜めのたくさんの線を織り出した正絹の角帯。宝来屋の四代目”近藤栄一”が創り出した、昭和のヒット商品。五代目の私が幼少の頃には既にありましたから、半世紀以上織り続けているロングセラー商品でもあります。

複雑な織組織

たて糸、よこ糸ともに二種類の絹糸を使用し、斜めの線も織組織を変えて織り出しています。よく見ると斜めの線がたて糸で表現されているところと、よこ糸で表現されているところがあります。織の組織(たて糸とよこ糸の組み合わせ)を変えることで表面の凹凸感が織り出されています。織物と染め物の一番の違いは、この凹凸感だと思います。昭和60年ぐらいまでは裏面も同じ斜めの線を織り出していましたが、類似品が市場に出たため裏面を無時間のモザイク柄にしたと聞いております。創り手の意地を感じます。

シームレスの袋状に織り出した逸品の角帯

画像の通りこの角帯は袋状に織り出され、縫い目がありません。これは表のたて糸と裏になるたて糸を決めよこ糸を通していく事で織り出される技。完成するまで時間はかかりますが左右の耳の高さが一定になり、何とも気持ちの良い角帯になります。

締め心地抜群の角帯

半世紀以上織り続けているので、ご使用になられておられる方に何人もお会いします。一同に”締めやすい帯だ”と言っていただいております。もちろん私も使用しておりますが、硬すぎず柔らかすぎず自在に締められる帯地です。機会があれば是非ご使用になってみてください!